ムラサキシキブの仲間                    
 

       ムラサキシキブの仲間

     広島県に自生するムラサキシキブの仲間4種の区別
      ームラサキシキブ、コムラサキ、ヤブムラサキ、トサムラサキー


    1)花による区別

ムラサキシキブ

コムラサキ

ヤブムラサキ

トサムラサキ

    ムラサキシキブの仲間の花はヤブムラサキを除きいずれも淡い紅紫色で、見分けるのは難しい。
    ①ムラサキシキブ:花や実は葉腋のすぐそばに付けます。
    ②コムラサキ:花や実は、ムラサキシキブと異なり葉腋から少し離れた所に付けます。
    ③ヤブムラサキ:葉腋から花序をだして他の種より濃い紅紫色の花を2~10個葉のかげに隠れる
     ように下向きに付ける。花の数は少ないが色は鮮やかです。萼に毛が密生することも特徴です。
    ④トサムラサキ:トサムラサキの花もムラサキシキブと同じ淡い紅紫色をしています。
     西日本の沿海に自生していますが、個体数は多くありません。
     写真のトサムラサキの花の色は白色でシロバナトサムラサキと思われます(宮島で観察)。
     

    2)実による区別

ムラサキシキブ

コムラサキ

ヤブムラサキ

トサムラサキ

     ①ムラサキシキブ:実は葉腋のすぐそばに付けます。
     ②コムラサキ:実も花と同様、葉腋から少し離れた所に付け、ムラサキシキブと区別できる。
      コムラサキの自生は非常に少なく、めったに野山で出会えません。
      園芸店で見かけるムラサキシキブはほとんどがコムラサキです。園芸店でコムラサキが売られ
      ている理由は、コムラサキの方が実を付ける数が多いので見栄えが良いためだと思います。
     ③ヤブムラサキ:実には毛の多い萼が最後まで残っています。1枝に付く実の数は2~10個で、
      この仲間の中では最も少なく、他の3種は多数付けます。実を付ける数は少ない順でいえば、
      ヤブムラサキ>ムラサキシキブ>コムラサキ>トサムラサキとなります。
     ④トサムラサキ:トサムラサキの実の色は他の3種よりやや赤みが強い鮮やかな紫色です。
      西日本の沿海に自生していますが、個体数は多くありません。      


    3)葉による区別

ムラサキシキブ

コムラサキ

ヤブムラサキ

トサムラサキ

    ①ムラサキシキブ:葉の先端は急に細くなり尾状です。葉の基部はこの仲間では細いくさび形で、
      葉柄の方まで葉が流れています。この葉の基部の形の違いが他の3種との区別に有用です。
     ムラサキシキブの鋸歯は葉の根元までありますが、コムラサキの鋸歯は葉の上半分だけです。
    ②コムラサキ:葉の先はムラサキシキブ程尾状に長く伸びていません。コムラサキの葉身長は
     3~7cmで、この仲間では最も小さく、ムラサキシキブ(6~13cm)の約半分程度です。
    ③ヤブムラサキ:葉には毛が多く、手で触るとふわっとしたビロードのような感触がします。
     この感触はやはり葉の両面に毛が密生しているコバノガマズミと同じで、大きな特徴です。
     鋸歯は細かく小さい。葉の基部はこの仲間の中で唯一丸く、他の3種はくさび形をしています。
    ④トサムラサキ:葉は、枝先の葉は尾状に細長く伸び、枝の基部の方の葉は幅が広い。
     鋸歯は粗く不揃いで鈍いのですが、他の3種よりははっきりとした鋸歯を持っています。