ヤマグワ(山桑)(クワ科クワ属 落葉高木 雌雄異株)

                 
全国分布北海道、本州、四国、九州、南千島
県内分布県内に広く自生
 
  

   広島市近郊の野山だけでなく川岸にも見られ、中国山地まで幅広く自生しています。
   実がない時の成木は不分裂の葉ばかりで特徴がなく、身近にあっても見逃しやすい。
   名前の由来:蚕(かいこ)の、食う葉(くうは)から転訛。諸説あり。    


実 (2015/06/07 静岡県 城ケ島)

 実は長さ1~1.5cmの楕円形で、マグワより小さいが美味です。 ヤマグワとマグワの花や実はよく似ていますが、雌しべの花柱の長さに差があります。両方とも雌しべの柱頭は白くて先端が2つに分かれていますが、 花柱はヤマグワの方がかなり長く、はっきり花柱を確認できますが、マグワの方はかなり短いので花柱が確認しにくいといった差があります。 実についてもヤマグワにはひげの様な長い柱頭が残っていますがマグワには残っていません。  マグワは本来中国原産ですが、過去に養蚕用に植栽されていたものが現在では多く野生化しています。

実 (2018/05/31 八幡)

 ヤマグワは雌雄異株(時に同株)で、花期は4~5月です。雌花序も雄花序も共に小さく花弁もないので見栄えのしない花です。 集合果は長さ5~14cmの楕円形で、7~8月に赤色から黒く熟して食べられます。

若い樹 (2013/05/26 八幡川河川)

   丘陵から低い山地に多く自生し、高さ10~15mになります。この樹はまだ若い樹で分裂葉が多く見られます。

 

若い実 (2015/05/09 島根県 出雲弥山)

 すでに枯れかけていますが、まだ花柱と花柱の先に2つに分かれた柱頭が残っているのが判ります。

葉 (2018/05/31 八幡湿原)

 葉は互生します。成木ではほとんどが不分裂葉ですが、若木では3分裂する葉がよく混じってます。さらに幼木や徒長枝では 複雑に5深裂する葉もあり、多様な葉形が見られます。先端は尾状に長く伸び、鋸歯はコウゾに比べ大きくて目立ちます。 クワの葉は切れ込みのないものから3~5裂するものまで様々な形の葉を付けています。 この様な葉を持つ樹として、カジノキやコウゾがあり、特に広島近郊の里山にはヒメコウゾの樹が多いので、実のなっているとき以外では注意して観察しないと、 何の樹なのかわかりません。