ヤマグルマ(山車)(ヤマグルマ科ヤマグルマ属 雌雄同株 常緑高木)

                 
全国分布本州(山形県以西)、四国、九州、沖縄
県内分布低山地域の渓谷などに自生
  

   岸壁などの急斜面を好み、宮島、三段峡、鎌倉寺山、石ケ谷峡などに自生します。
   花は車輪のような形状でユニークです。実はウコギ科の様に円形に並んで付きます。
   名前の由来:厚くて光沢のある葉が枝先に車輪状に付くことから。  


花 (2017/05/02 三段峡)

 開花時期は5月頃で、枝先に長さ5~10cmの総状花序をだし、黄緑色の花を10~20個つけます。 花には花弁も萼もなく、車輪状に並んだ5~10個の雌しべの周りに雄しべが多数付きます。 決して美しくはありませんが一風変わった花を付ける興味深い樹です。

 

花 (2017/05/02 三段峡)

 枝先に葉が輪生し、その中心からウコギ科の様に花や実が球形に近い形でまとまって付きます。

 

花 (2018/05/10 三段峡)

 ヤマグルマは生きている化石とも呼ばれ、系統発生的に見てきわめて原始的な被子植物ということです。

 

花 (2018/05/10 三段峡)

 山地の岩場や渓谷の崖などに自生し、樹高は10m前後になります。ミズキの様に枝を面上に広げ、階層を作る樹形も特徴の1つです。

 

若い実 (2014/10/17 三段峡)

 果実は直径約1cmの袋果が5~10個集まったもので、やはり輪生状に付き、先には角のように突き出た花柱が残っています。

実 (2015/04/26 十方山)

 果実は直径1cmほどで、5~10個の袋果からなり、星形の形をしています。

葉 (2015/05/05 石ケ谷峡)

 葉は倒卵形で枝先に輪生状に集まって付きます。葉は革質ですべすべした質感で光沢があります。円形に近い葉からかなり細長い葉まで変異が多い。 縁の上半部に鈍い波状の鋸歯があります。常緑樹は晩春に落葉するものが多く、ヤマグルマも赤く色づいた葉をこの時期に落とします。

 

樹皮 (2014/10/17 三段峡)

 ヤマグルマ科の樹は導管を持たず、仮導管だけで水分を運ぶ無導管の珍しい被子植物です。 普通被子植物は導管と仮導管の両方を持っています。樹皮からトリモチが採れるのでトリモチノキとも呼ばれます。