ヤマフジ(山藤)(マメ科フジ属 落葉つる性)

                 
全国分布本州(中部地方以西)、四国、九州
県内分布瀬戸内の島及び沿岸地域から山間地に自生
  

   広島市近郊の野山に多く自生し、時には大きな樹木全体を覆うように絡み付いています。
   綺麗な紫色の花が房状に垂れ下がり、よく目立ちます。花の後に大きな実をぶら下げます。
   名前の由来:中国のシナフジ(紫藤)を語源とする説や、花が「吹き散る」の転訛説など。  


花 (2015/04/23 極楽寺山)

 開花時期は4月中旬以降で、長さ10~20cmの総状花序を垂らし、紫色のマメ科特有の蝶形花を多数付けます。

花 (2017/05/05 深山峡)

 ヤマフジとフジ(ノダフジ)の違いは、以下の4点で区別できます。①花の咲く時期がヤマフジの方がフジより少し早い。 ②ヤマフジの花は花序の先までいっぺんに咲いてしまいます。フジの花はいっぺんに咲かず、花序の元の方から先に向かって花を開いていきます。 ③つるの巻き方の方向が異なり、ヤマフジは、下から見て右上に巻きますがフジはその逆で左上に巻きます。 ④花序の長さが異なり、ヤマフジの花序はフジより短く、10~20cm前後です。フジの花序は長さが30~60cm、長いものは1mにもなります。

花 (2017/05/05 深山峡)

 時には大きな気に巻きつき、樹全体を覆っています。フジに絡みつかれた樹はやがて枯れてしまうそうです。

蕾 (2014/04/19 柚木山)

実 (2013/06/22 柚木山)

 実は豆状の果で、表面はビロード状の短毛が密生し、15~20cmの長さになります。果皮は硬い。 ヤマフジの実はその年の秋10~11月、暗褐色に熟して種子を中から飛ばします。フジの実は開裂して中から種子が飛散するのは翌年の春になってからです。

葉 (2016/11/01 日浦山)

 ヤマフジの小葉は普通5対で、フジの7対より少なめです。また、葉の幅がフジより広いのが差別化点です。 葉はヤマフジ、フジの両方とも奇数羽状複葉で、葉の縁に鋸歯がない点は、ウルシの仲間と同様ですが、フジはつる性なので間違えることはないと思います。 また、フジの葉は表面が波打っていることが特徴なので、その点を注意してみるとウルシの仲間との違いは判ります。

黄葉 (2017/11/25 鈴が峰)

新緑 (2012/06/17 大分県 九重)

蔓 (2019/01/29 高城山)

 ヤマフジのつるは右巻き(枝先に向かって右巻き)ですが、フジ(ノダフジ)は、逆の左巻きで、ヤマフジより花序は長いようです。 このようにつる性植物はつるの巻く方向を決めていることが多いようです。フジとヤマフジを区別するにはつるの巻き方向を確認することです。