ツタ(蔦)(ブドウ科ツタ属 落葉つる性)

                   
全国分布北海道、本州、四国、九州
県内分布瀬戸内の島および沿岸地から山間地まで広く自生
 

   広島市近郊の山野、里山に自生し、樹に絡みつき伸びている姿をよく見かけます。
   花や実は小さくて目立ちませんが、秋には葉が真っ赤に色づき綺麗です。
   名前の由来:樹木の幹や岩壁などを「伝う」ようによじ登ることから。  


実 (2015/06/30 宮島)

 花期は6~7月で、短枝の先に複集散花序をだし、黄緑色の目立たな花を付けます。 果実は直径約9mmの球形で、10月頃黒紫色に熟します。 葉には2形あり、花の付く短枝の葉は長さ5~15cmと大きく葉柄も長く、上部は3裂します。花の付かない長枝の葉は小さくて葉柄も短い。 この写真から葉に2形あることが見て取れます。

葉 (2018/09/24 古江)

 葉は互生し、光沢の強い単葉で通常3~5裂に切れ込みがありますが、不分裂の葉もあります。 一方、ツタウルシの葉は3出複葉で縁に鋸歯がなく全縁なので区別は容易です。

葉 (2015/06/30 宮島)

 林縁や明るい林内に自生し、吸盤のある巻きひげをだし、岩や高木にも登ります。 巻きひげの先端に吸盤があるのは他種に見られない大きな特徴です。

葉 (2019/11/27 田方)

 ツタとツタウルシは、成木の葉を見ると簡単に見分けられます。しかし、ツタの若木の葉はツタウルシのように3枚の葉を持つことがあるため、 若木の葉は非常によく似ていて、植物にかなり詳しい人でもなかなか見分けがつきません。 3枚の葉を持つ植物がツタかツタウルシか見分けるには、ツルを目でたどってみて同じツルから出ている葉がすべて3枚かどうか を観察すると区別できます。ツタの場合、必ずといってよいほど2枚や1枚になった葉が見られます。 また、ツタの若い葉の鋸歯の先端には糸状の突起がありますが、ツタウルシには突起はありません。

紅葉 (2018/10/26 安佐動物園)

 秋には葉が真っ赤に色づき見事ですが、やはりツタウルシも同様に真っ赤に紅葉します。 ただし、同時期に真っ赤に紅葉するツタウルシと間違わないようにすることです。 ツタとツタウルシの相違点:ツタはブドウの仲間で、落葉時に葉(葉身)の部分だけが落ちて柄(葉柄)がかなり遅くまで残っていることが多い。 また、ツタウルシは枝のように中空に突き出すことが多いがツタは樹木などにへばりついて中空に突き出すことはありません。 さらに、ツタウルシなどのウルシ科の植物は枝や葉を切ると白い液が出てくることや、ツタウルシの葉は表面に光沢があり、 側脈が明瞭なのに比べ、ツタの葉には毛があり光沢はなく側脈が不規則で、あまり明瞭ではありません。 これらのことを頭に入れ総合的に判断すれば見分けることができます。

紅葉 (2019/11/27 田方)