ツクバネガシ(衝羽根樫)(ブナ科コナラ属 常緑高木)

                   
全国分布本州(福島県、石川県以西)、四国、九州
県内分布低山地域の渓谷に自生
 

   中国山地に近い渓谷に自生するカシですが、特徴がつかみにくくあまり観察できていません。
   枝先に葉が輪生状に付き、”つく羽根”状に見えるのが特徴ですが実際にはわかりにくい。
   名前の由来:枝先の葉が輪生状に並び、その様子が羽根つきの羽根に似ていることから。  


葉 (2014/09/30 宮島)

 典型的な葉は、シラカシと同程度の細さで、葉柄が短く、葉表は光沢があり葉裏は緑色です。 成木の葉では、鋸歯は先端部分3分の1にわずかにあるか全縁です。若木の葉では鋸歯があることが多い。 アカガシの葉にも似ていますが、葉身長も葉柄もアカガシより短く、葉の先端部に鋸歯があることで区別できます。 ツクバネガシの葉身長は5~12cm、葉柄は4~12mm程度です。枝先の葉は輪生状に付き、 展開したばかりの葉は縁が裏面に巻いており、赤みを帯びていています。
花期は4~5月で本年枝の下部から雄花序を垂らし、本年枝の上部の葉腋に短い雌花序を直立させてつけます。

樹皮 (2014/09/30 宮島)

 樹皮は若木ではなめらかで、縦に皮目が並び、大きく成長すると小さく樹皮が剥がれ落ちます。

若葉 (2015/04/21 植物園)

 ツクバネガシは「つく羽根樫」のことで、枝先に葉が輪生する様子がつく羽根に似ていることに由来します。
若葉のころに下から逆光気味に見上げると、つく羽根の感じがよく判ります。

全体 (2014/09/30 宮島)

 山地の沢沿いの急斜面などに多く自生し、樹高20mになります。ただし、個体数は少なく、島しょ部では 宮島や倉橋島の高所に見られます。関東地方には少なく、西日本に多く見られます。
速谷神社のツクバネガシは県の天然記念樹に指定されています。