スダジイ(ブナ科シイ属 常緑高木 雌雄同株)

                   
全国分布本州(福島県、新潟県以西)、四国、九州
県内分布沿岸部、瀬戸内の島に稀に自生
 

   広島県ではスダジイの自生は少なく、自生するシイのほとんどはツブラジイだそうです。
   シイはこのスダジイとツブラジイの両者を指し、ともに実は食べることが出来ます。
   名前の由来:「スダ」は実の形が巻き貝のシタダミに似るから、
         「シイ」はシイタケ栽培に使われるから。諸説あり。  

 

雄花序 (2012/05/10 平和通り)

 開花時期は5月から6月で、雄花序は本年枝の下部から、雌花序は上部の腋から両花序とも上向きに付けます。 ただし、雄花序は軸が細く長い花序なので徐々に垂れ下がってきます。虫媒花なので花期には強い香りを発散します。 香りも強くこの時期のスダジイは遠くからでもよく目立つ存在です。

雌花序 (2019/05/07 平和通り)

 雌花序には小さな雌花が多数枝の先端に付けます。

花 (2012/05/10 平和通り)

 雌雄同株で、花期の5月下旬~6月、雄花がたくさん垂れ下がっているのが遠方からでもよく目立ちます。 クリ等と同じ虫媒花なので強い香りを発散します。 ツブラジイとの区別は花では難しく、樹皮と果実では区別できます。ツブラジイの樹皮には深い割れ目はできません。 ツブラジイの果実はスダジイより小さくて丸い。

葉表 (2017/01/04 平和通り)

 葉は互生し、枝に対して2列に並び、やや斜め下向きに付きます。縁は全縁の葉と先の半分に鈍い波状の鋸歯のある葉が混在します。

葉裏 (2017/01/04 平和通り)

 葉は裏面に淡い褐色の鱗片状の毛があるために鈍い金色の光沢があります。 このような金色の光沢を持つ樹木としてツブラジイ、シリブカガシがありますが、この特徴を持つ樹木は少ない。

若葉 (2013/05/23 柚木山)

 若葉は垂れ下げて付き、遠くから見ると金色に光って見えます。

実 (2015/10/23 宮島)

 実は1.2~2cmの楕円形の堅果で、翌年の秋に熟します。ドングリの中では最も美味しいそうです。 実がなっていればコジイとスダジイの区別は容易で、スダジイの実は長さ1~2cmの長楕円形ですが、 コジイはスダジイより短く小ぶりで球形に近い形をしています。

全体 (2013/05/23 柚木山)

 山地に生え、高さ約30mになるものもあります。人家に植栽されるのはスダジイの方が多いようです。  スダジイの樹は近郊の山によく自生しているようですが、広島県ではコジイの方が圧倒的に多いとのことです。 スダジイとコジイはよく似ているのでその区別は難しく、実の大きさや樹皮の違いなど注意深い観察が必要です。

樹皮 (2017/01/04 平和通り)

 実のないときの区別は樹皮の違いを観察することで判ります。スダジイの樹皮は黒褐色で、ある程度成長すると樹皮に縦の割れ目が入ります。 一方、コジイの樹皮は灰褐色で割れ目が入らず滑らかです。