ヌルデ(白膠木)(ウルシ科ヌルデ属 落葉小高木)

全国分布 日本全土
県内分布 瀬戸内の島・沿岸地から山間の林縁、路傍等に自生
 

   近郊の野山でよく見かける樹です。枝に翼があるのが最大の特徴で、覚えやすい樹木です。
   アカメガシワなどと共に繁殖力が強く空き地に最も早く繁殖します(先駆樹種と呼ばれる)。
   名前の由来:幹を傷つけて白い汁を採り塗料として使ったことから。


花 (2015/09/05 茶臼山)

 開花時期は8~9月で、枝先に円錐花序をだし、白色の小さな花を多数開きます。花序は15~30cmあり、雌雄別株です。 ウルシの仲間ですが、かぶれる成分が殆どないので触ってもかぶれることはありません。

 

実 (2017/10/14 鬼が城山)

 実は直径約4mmの扁球形で、10~11月に黄赤色に熟します。

実 (2016/11/12 黒滝山)

 果実には短毛があり、熟すと白い物質を分泌します。

 

葉 (2015/09/05 茶臼山)

 葉は30~60cmと長い奇数羽状複葉です。小葉は3~6対で、縁には粗い鈍鋸歯があります。 日本で見られるウルシ科の樹木のうち、成木の葉に明瞭な鋸歯があるのは本属のみです。 また、ヌルデの葉軸には翼があるのが最大の特徴で、他のウルシの仲間と容易に区別できます。 したがってウルシの仲間であっても翼に気付けば間違えることはありません。

 

虫こぶ (2015/09/05 茶臼山)

 葉にヌルデシロアブラムシが寄生してできた虫こぶは五倍子(ごばいし)と呼ばれ、 タンニンの含有率が高いので薬用や染料等に利用されています。 また、昔は女性の歯黒や歯痛に使用されていたようです。 漢方では収斂(創面,潰瘍面,粘膜表面などの消炎)・固渋薬(下痢、遺尿など)として止瀉・止咳・止汗・止血の効能があり、 慢性の下痢や咳嗽、脱肛、盗汗、鼻出血や痔出血に用いる。 かつて五倍子の粉末に茶を加えて麹で発酵させた百薬煎が止瀉薬(下痢止め)として用いられた。

紅葉 (2010// 帝釈峡)

 林縁や道端、河原などから山地にかけて広域に自生し、よく見かける樹で樹高は3~7mになります。

紅葉 (2016/11/12 黒滝山)

 ヌルデの紅葉もウルシの仲間で真っ赤になり綺麗に赤に染まります。 名前の由来ですが、ヌルデは白い樹液を算出し、その白い樹液を塗料として使用したことから付けられたようです。 この白い樹液は乾くと黄色に変色してカチカチに固まります。