ナワシログミ(苗代茱萸)(グミ科グミ属 常緑低木)

全国分布 本州(関東地方以西)、四国、九州
県内分布 瀬戸内の島および沿岸部から低山地域に自生

   内陸部にも自生しますが、海岸や沿海地に多く、近郊の野山で最も多く見られるグミです。
   葉の縁が裏側に少し巻いているのが最大の特徴で、他のグミと容易に区別できます。
   名前の由来:初夏、苗代を作る時期に果実が熟すから。  


花 (2018/10/24 康午)

 開花時期は10~11月で、葉腋に淡黄色の花を数個開きます。グミの花は白く花弁のように見えますがそれは萼筒で、先が4つに裂けているので花弁のように見えます。 ナワシログミの萼筒には4個の稜があり、角ばっています。萼筒の基部で大きくくびれて子房につながっています。 晩秋から初冬に花を付ける樹木は少ないので、冬の時期に花を咲かせる貴重な樹木の1つです。 ツルグミ同様、萼筒の外側には褐色の鱗片が密生していますが、萼筒がツルグミより太いのが特徴です。

花 (2014/12/24 康午)

 近郊の野山、里山に普通に自生しており、グミの仲間では最も多く見かけます。 沿岸地域から丘陵の乾いた林内や林縁、岩場などに自生し、樹高は2.5mになります。 枝は折れにくい。若い枝は褐色の鱗状毛に被われています。小枝は刺に変化しやすく、葉腋にも小さな刺が出ます。

葉 (2015/02/24 茶臼山)

 葉身長5~10cmの楕円形の葉です。葉は深緑色をしており、質は革質で光沢があります。葉は互生し、葉の縁は全縁(鋸歯がない)です。 一番の特徴は、葉の縁が波状で少し裏側に巻いており、他のグミとの大きな差別化点です。 所々の葉腋に刺が出ていることも特徴です。

葉の裏 (2018/10/24 茶臼山)

 葉の裏は銀色の鱗状毛が密生し、その上に褐色の鱗状毛が点在するので、 全体としては銀色のような色をしているのも特徴の1つです。

 

実 (2016/03/30 康午)

 果実は約1.5cmの楕円形で、翌年の5月頃熟し、食べることが出来ます。 ナワシログミとツルグミの実は長楕円形の形をしていますが、アキグミは丸い形です。

 

実 (2016/03/30 康午)

   ツルグミの花期は10~11月で、実は次の年の5月頃オレンジ色に赤く熟します。ナワシログミの方が早く熟します。 一方、アキグミは名前の通り、秋9~11月に赤く熟します。花期は春です。

 

差別化 葉表 (2019/01/25 柚木山)

 左がナワシログミ、右がツルグミです。ナワシログミの葉の縁が波打っているのが判ります。逆にツルグミの葉の縁は滑らかです。

 

差別化 葉裏 (2019/01/25 柚木山)

 左のナワシログミは白っぽい鱗状毛が密生するので、少し褐色を帯びた銀色に見えます。 右のツルグミは三番目に多く見られるグミですが、赤褐色の鱗状毛が多いため、金色に近い色に見え光沢感があります。 グミ類として二番目に多いアキグミの葉の裏は綺麗な銀白色です。