ムクノキ(椋木)(アサ科ムクノキ属 落葉高木)

全国分布 本州(関東地方以西)、四国、九州、沖縄
県内分布 瀬戸内の島および沿岸部に自生、内陸部は少ない

   広島市近郊の山に自生していますが個体数はそれほど多くありません。
   樹高が高い木なので小さい花や実は見逃してしまうことが多い。新緑は美しい。
   名前の由来:木が古くなると樹皮が剥片となってはがれる(剥く)ことから。諸説あり。


花(雌花と雄花) (2015/04/24 古江)

 雌雄同株ですが、花は雌雄異化で別々です。5月頃葉が開くと同時に淡緑色の小さな花が咲きます。 淡い黄色をしていますが、一つ一つが大変小さく花弁もないので花としてはじみです。 雄花は本年枝の下部に集まって付き、雌花は上部の葉腋に1~2個付きます。 この写真でもわかるように、黄色っぽいたくさんの花が集合して付いているのが雄花で、枝先に1~2個の小さな白い花が付いているのが雌花です。 花柱は2裂し柱頭に白い毛が密生します。

 

雄花 (2016/04/13 古江)

 

花 (2013/04/21 古江)

 

蕾 (2016/04/11 古江)

 

葉と実 (2016/06/28 古江)

 葉の特徴は、大きな樹にしては小さく(ケヤキの葉と比べても小さい)て卵形をしていることです。 また、葉の両面とも短い伏毛があって触るとざらざらしていて紙やすりの代用として利用されることがあるとのことです。 葉はケヤキに似ていますが、鋸歯が角ばった山形でケヤキの様にカーブしないことや、一番下の側脈は葉の基部から3本出て、 さらに脈が分岐することで区別できます。側脈は鋸歯の先端まで達しています。 また、成木の日なたの葉は、より厚く小型で丸みが強いのが特徴です。

実 (2016/11/16 比治山)

 果実は直径7~12mmの卵状球形で黒く熟します。

 

樹皮 (2017/11/25 鈴が峰)

 高木になると板根を作るため地面近くの幹を観察して、板根らしき形をした幹と樹皮の色が白くて細い縦筋が入っている 樹を見ればムクノキが想定できます。その他の特徴である葉や実を覚えればムクノキの区別は容易になります。 老木になると樹皮は短冊状に反り返って剥がれ落ちます。

 

新緑 (2011/05/13 古江)

 街路樹や公園、お寺等でよく植樹されています。平和大通りの中心部、ANAホテル前に被爆樹木としてムクノキが紹介されています。

全体 (2016/04/11 古江)

 河畔林、沿岸林などに見られますが、自然度の高い森林には少なく、樹高は大きいもので30mに達します。