ムベ(郁子)(アケビ科ムベ属 落葉つる性)

                         
全国分布本州(関東地方南部以西)、四国、九州、沖縄
県内分布低山地域に自生
 

   広島市近郊の低山にも個体数が多く結構見かけますが、実を見かけることは多くありません。
   アケビ科の樹木の花としては大きくラッパ状の花をたくさん付けよく目立ちます。
   名前の由来:長寿の理由がムベの実であると天智天皇が聞き、
         「むべなるかな(もっともなことだ)」と言ったことから。  


 

雄花 (2014/04/19 柚木山)

 

 花期は4~5月で葉腋から短い総状花序をだし、3~6個の雄花とやや大形の雌花を少数付けます。雌雄同株で雌雄異花です。 花は下向きに咲き、内面には淡紅紫色の筋があります。花には花弁はなく、花弁に見えるのは6個の萼片で、外側の3個は内側の3個より幅が広い。 萼片はわずかに淡黄緑色を帯びていて、ラッパ状のユリに似た形状をしてます。 雌花と雄花を同じ株につける雌雄同種の植物で、花の形状は雌花も雄花も同じ形なので見分けるには 雌しべか雄しべかどちらがあるのかよく観察する必要があります。 雄花には合着した6個のおしべがあり、雌花には雌しべが3個あります。

 

雄花 (2014/04/19 柚木山)

 

 花はアケビ類とは全く異なり、わずかに黄色味を帯びた白色の花で、雄花、雌花共に細長い6個の萼片が花弁状に形成されます。 雌花の方が萼片は雄花より長い。 雄花には、たくさんのおしべが退化しためしべの周りに中心に固まり、一本の柱の様になっています。

雌花 (2016/04/24 柳井市 将軍山)

 雌花には、3本の雌しべがあり、この写真でははっきり確認できます。この写真のムベは真っ白でシロバナムベという種です。 通常、ムベの花には一番初めの写真のように内側に紫色の筋があります。

 

実 (2013/10/30 呉娑々宇山)

 果実は長さ5~8cmの卵円形で、10~11月にで暗紫色に熟しますが、裂けません。果肉はアケビより固いが甘く食べられます。 果実はアケビより大きく暗紫色(赤っぽく)に熟しますが、アケビの様に割れない点も大きな特徴です。 アケビ類は一株では結実しない自家不和合性なので、結実させるには2株以上植える必要があります。

 

葉 (2016/11/01 日浦山)

 葉は掌上複葉で互生します。葉は厚く硬く、光沢があり、葉裏は網状脈の網目模様がよく目立ちます。 アケビよりつるは長く伸び葉も大きく、アケビの約2倍です。小葉は普通5枚ですが、3~7枚あるものもあります。 小葉は、長さ5~10cmの楕円形で、アケビと異なり葉の先は短く尖っています。縁は全縁です。革質で表面は光沢があります。

葉 (2013/05/04 呉娑々宇山)

 別名トキワアケビと呼ばれているが、その名の通り常緑です。一方、アケビとミツバアケビは落葉です。 ムベは若い枝の葉は、はじめ3小葉ですぐに5~7小葉になり、7小葉になって実を結ぶので、七五三になぞらえて、めでたい樹とされました。

 

全体 (2014/04/19 柚木山)

 

 この写真は雄花のみです。 ムベは東海から西日本にかけての海岸林や山麓などに多く自生していますが、関東地方には少ない。 暖温帯・亜熱帯の沿海の常緑樹林内や林縁に生え、ツルは右上に巻き高木にも巻きつきます。