クスノキ(楠、樟)(クスノキ科クスノキ属 常緑高木)

                   
全国分布本州(関東地方南部以西)、四国、九州
県内分布瀬戸地の島から沿岸部に自生、沿岸部では稀

   広島市近隣の山に自生しますが、個体数が多くなく山では見落としてしまいがちな樹木です。
   大きな樹になりますが、可愛らしい花や光沢のある真珠のような美しい実を付けます。
   名前の由来:独特の芳香をもち「臭し木」、また防虫剤、鎮痛剤が作られ「薬の木」から。  


花 (2013/05/26 鈴が峯)

 開花時期は5~6月で、葉の付け根から円錐花序を出し、わずかに黄色味がかった蝋細工の様な白色の小さい花を多数つけます。 花は可愛いのですが、小さくて葉に隠れていることが多いので気が付かないで通り過ぎてしまうのは残念です。

花 (2013/05/26 鈴が峯)

 暖温帯の低地から丘陵の照葉樹林に見られますが、本来の自生地は九州といわれてます。

実 (2016/11/17 平和通り)

 果実は直径8~9mmの球形で、10~11月に黒く熟します。実は小さいですが表面に艶があり光っていて美しい。 色も緑色から黒色に熟していき、どの時点でも光沢があります。

実 (2012/11/23 長崎県 雲仙)

 果実は秋に黒く熟しますが、果実の基部が杯状の花被筒に包まれていることもクスノキ属の特徴です。 常緑樹なので小さい花や小さい実を付けていても葉に隠れて見えにくく、注意して観察しないと見過ごしてしまいます。 しかし一旦花や実を見つけると、その可憐さに惹かれてしまいます。

葉 (2012/11/23 長崎県 雲仙)

 葉は全縁で互生し、葉の葉脈が3行脈と呼ばれていますが、主脈と近くから伸びる2本の支脈が目立ちます。 その3脈の分岐点にダニ室があり、葉をちぎると樟脳の香りがします。

葉 (2018/04/02 井ノ口)

 紅葉した落葉間近の葉でも3行脈がよく分ります。枝や葉ももむと芳香のある揮発油や粘液を含んでいるため、いい香りがします。

紅葉 (2018/04/02 井ノ口)

 クスノキは常緑樹ですが、若葉が出る春になると紅く色づいた古葉が一斉に落葉します。まるで秋に黄葉した葉を落とす落葉樹と同じです。 春、赤く色づいた古い葉が混じったクスノキは若葉の緑とのコントラストが見事です。

紅葉 (2016/04/12 井ノ口)

 今年の若葉が出てくる頃がクスノキの落葉時期で、4月中旬以降から多くの葉が入れ替わります。

全体 (2014/07/08 平和公園)

 街路樹、公園樹、社寺に植栽される代表的な樹木です。成長が早くて大木になりやすく寺社にしばしば大木があり、樹高は50mを超えるものもあります。 クスノキは全国に多くの大樹(大楠)が知られているようですが、全国No1.の楠は鹿児島県蒲生町の「蒲生の大クス」で、 幹回りが24.2mあります。

樹皮 (2014/03/27 宮島)

クスノキの樹皮から防虫剤の樟脳が採れますが、この樹皮に含まれる化学成分は自ら不要な枝を落として風の抵抗を弱める作用を持っています。 樹皮と葉に樟脳の香りがあります。

冬芽 (2018/04/02 太田川河川)

 長卵形で先は尖り淡い赤褐色をしている。