コバンノキ(小判の木)(ミカンソウ科コミカンソウ属 落葉低木 雌雄同種)

                   
全国分布本州(岐阜県、福井県以西)、四国、九州、沖縄
県内分布低山地域から中国山地に自生

 

   比較的低い山にも自生しますが、個体数が少ないようで観察できたのは三段峡だけです。
   名前の通り葉が小判のような形をしており、花もユニークなので覚えやすい樹木です。
   名前の由来:葉の形が小判に似ているから。  


雄花 (2018/05/10 三段峡)

 開花時期は5月頃で、葉腋に小さな花を数個付けます。雌雄同株で、小枝の基部に雄花、上部には雄花と雌花を付けます。 雄花は紅紫色、雌花は淡緑色でどちらも花弁はなく、4枚の萼片が花弁の様に見えます。

雄花 (2018/05/10 三段峡)

 雄花の萼片は暗紫色で花弁のように平開します。

雌花と雄花 (2018/05/10 三段峡)

 鮮明な写真ではありませんが、画面の右下に雌花が1個だけ見られます。雌花には平開しない緑色の萼と曲がった2本の花柱が見えます。 (花柱は雌しべの先端で本来3本あります。)

実 (2019/07/28 三段峡)

 果実は約6mmの球形で、9~10月に黒色に熟します。

若い実 (2015/06/16 三段峡)

葉 (2015/06/16 三段峡)

 葉は長さ2~3cmの卵形または楕円形で、細長い枝に互生してきれいに並び、羽状複葉に見えます。 葉腋に花や実があれば、羽状複葉ではなく単葉であることがわかります。 葉の形は名前の通り小判の様な形で、両端とも丸く縁は全縁です。

全体 (2018/05/10 三段峡)

 丘陵から山地の温帯に自生し、沿岸部には見られません。樹高は2~3mになる。西日本に多く沿海地から山地にかけて見られます。 広島県では、天上山、高鉢山、野呂山などの丘陵から山地の温帯に見られます。コバンノキは枝に特徴を持っています。 枝は前年の葉腋から新しい小枝がしばしば2本ずつ出て、長さ約10cmに伸び、数枚の葉が2列に互生する。 花を付ける小枝は秋になると小枝ごと落ちます。