キミノシロダモ(黄実の白だも)(クスノキ科シロダモ属 常緑)

                   
全国分布本州(宮城県、山形以西)、四国、九州、沖縄
県内分布宮島など瀬戸内の島に自生
 

   これまで瀬戸内の島に自生するという報告がありますが、田方の里山で観察できました。
   シロダモのうち、果実が黄色の品種がキミノシロダモであり、自生する頻度は低い。
   名前の由来:シロダモは果実が赤く熟すが、この樹の実は黄色く熟すから。  


実 (2014/01/11 田方)

キミノシロダモの実  赤ではなく黄色の実を付けているのは、紅紫色のアントシアニンを生産する遺伝子が欠けたため、 黄色のカロチノイドだけが発現しているのではないかとのことです。 実の色以外はシロダモと同じです。シロダモは、宮城・山形県〜沖縄の暖地の山野の比較的湿潤なところに自生し、樹高10〜15mになります。 樹皮は緑色を帯びた暗褐色で、まるい小さな皮目が多く新枝には黄褐色の毛が密生します。 花期は10〜11月で、葉のわきに黄褐色の小さな花が集まってつきます。 雌雄別株で、花片は4枚、雄花の雄しべは6個あり、雄花にも雌しべがありますが結実しません。雌花には雌しべが1個と仮雄しべが6個あります。花片は4枚あり、平開します。 果実は長さ1.2〜1.5cmの楕円形で、翌年の10〜11月に赤く熟します。

実 (2014/01/11 田方)

キミノシロダモの実  果実が熟して黄色くなるシロダモの品種で、稀に自生します。湯来町で標本が採取されているほか、宮島では自生株が撮影されています(宮島の植物と自然 2007 & 2009)。 常緑の亜高木、シロダモの1品種で,シロダモが分布する場所で稀に見られ、熟した果実が黄色くなる点で基本種と区別されています。 広島では宮島が産地として報告されており、大元や室浜など数か所で生育が確認されています。

 

葉 (2014/01/11 田方)

キミノシロダモの葉  葉もシロダモと同じです。葉は互生し枝の先に集まって付きます。葉身長8〜18cm、幅4〜8cmの長楕円形または卵状長楕円形で、縁は全縁です。 クスノキ科の特徴でもある3脈が目立ちます。若葉は垂れ下がり、両面とも黄褐色の絹毛におおわれています。成葉になると表面は無毛。