ガンピ(雁皮)(ジンチョウゲ科ガンピ属 落葉低木)

 
                   
全国分布本州(静岡県、石川県以西)、四国、九州(黒髪山)
県内分布広島県では宮島に多く自生するが、本土側は少ない

 

   個体数は少ないようですが広島市近郊の山に自生しています。
   花や実には特徴があるので見分けは容易ですが、花や実のない時期には判りにくい樹木です。
   名前の由来:和紙を「斐紙(ひし)」、その原料を「紙斐(かみひ)」と呼んだことから。  


花 (2018/06/02 大野権現山)

 開花時期は5月下旬から6月上旬で、枝先に花筒状で先が少し開いた長さ7~8cmの黄色い花を輪生状に付けます。 萼は淡黄色の筒形で細長いのが特徴で、萼筒の先は4裂します。萼筒には白い毛があります。

花 (2018/06/02 大野権現山)

暖温帯の丘陵のやせ地の林縁や岩場に自生し、高さ1.5~2mになります。

蕾 (2017/05/11 経小屋山)

実 (2015/06/23 大野権現山)

 果実は長毛が生えたそう果で、枯れた褐色の萼筒に包まれ紡錘形をしています。

葉 (2017/05/16 石ケ谷峡)

 葉は全縁で互生し、両面に白い絹毛がある。葉身長は3~5cmの卵形または卵状披針形で、縁は全縁です。 葉柄は短い。よく似たキガンピは葉が対生します。

葉 (2015/06/23 大野権現山)

 葉の表面には細かい絹状の毛が密生していて灰色がかって見え、触感はベルベットのようで滑らかです。

樹皮 (2014/03/27 宮島)

 濃い褐色色で皮目が横に筋となって目立ちサクラの樹皮に似ていますが、横筋はサクラほど多くないので慣れれば違いは判ります。 ガンピは高級和紙の一種、雁皮紙の原料となります。樹液に丈夫な繊維質が含まれています。産地としては岐阜県が有名です。 今日、和紙の原料は殆どミツマタかコウゾでガンピが使われることは殆どありませんが、これは栽培効率が悪いためと思われます。 明治時代、国産紙幣初代は雁皮紙が使われました。