ヒメイタビ(姫薜茘)(クワ科イチジク属 常緑つる性 雌雄異株)

全国分布 本州(房総半島以西)、四国、九州
県内分布 瀬戸内の島および沿岸部に稀に自生

   ヒメイタビは宮島以外では見かけることが少なく、イタビカズラの方が多い。
   イチジクの仲間でイヌビワ同様、花は嚢の中に包まれているので見ることが出来ません。
   名前の由来:「イタビ」はイヌビワの別称で、「イタビカズラ」より小形であることから。  


葉 (2015/06/30 宮島)

 葉は他の2種(イタビカズラ、オオイタビ)より小型です。 幼少の個体の葉では欠刻(葉の縁に鋸歯と違い大き目の切れ込みが入る)が大きく、成葉と著しく異なります。

葉裏 (2015/11/06 宮島)

 葉脈が裏面に顕著に浮き出、葉の裏に毛が多いのが大きな特徴です。

全体 (2015/06/30 宮島)

 宮島の大元公園ではモミの高い梢に上の方まで登り、よく結実します。 常緑樹林の林縁や岩場に自生し、気根を出して岩や木の幹に登ります。 花期は6~7月で雌雄別株です。葉腋に球形の花嚢を1~2個付けます。雄と雌の花嚢は同形です。 葉はイタビカズラに比べて小さいのですが、花嚢は直径約2cmでイタビカズラより大きい。

(参考) オオイタビの葉と花嚢 (2017/12/14 田方)

 オオイタビは支脈が30~40℃の角度で主脈から出ているのが大きな特徴です。 これに対してヒメイタビやイタビカズラの支脈は70~80℃と主脈からほぼ真横に出ていることで区別できます。 花嚢は初め緑色ですが、9~11月に熟すと黒紫色になります。 イチジク属の特徴的である花嚢を付けるので花を見ることはできません。 花嚢には明らかな柄がありますが、イタビカズラの花嚢にはありません。