ウワミズザクラ(上溝桜)(バラ科ウワミズザクラ属 落葉高木)

         
全国分布 北海道、本州、四国、九州
県内分布沿岸地から山間地に広く自生
 
 

   瀬戸内の島から山間部まで広く自生しているので、花の時期には是非観察したいサクラです。
   サクラの仲間ですが、ブラシの様な形の花序に多くの白い花を咲かせるユニークな樹です。
   名前の由来:古代の亀卜(亀甲占い)で溝を彫った板に使われたことから。 


花(2013/04/29 佐伯町)

 開花時期は4~5月で、葉の展開後に開花します。開花は他のサクラより半月から一か月遅いようです。 ウワズミザクラの花序の形態は、理科の実験で使った試験管やビーカーなどを洗う際に使用したブラシのような形をしています。 新枝の先から長さは8~15cmの花序をだし、小さな白い花を多数付けます。

花(2015/04/23 極楽寺山)

 花が穂状に付くウワミズザクラに似たサクラとしては、イヌザクラ、シウリザクラ(広島県には自 生していない)、リンボク(バラ科バクチノキ属)があります。この中でリンボクは秋に花を咲か せる少し変わった樹木です。

花(2015/04/23 極楽寺山)

 長く突き出た雄しべが目立ちます。雄しべの葯は淡い緑色なので花全体として白く見えます。 ブラシの様な花序を付ける点ではイヌザクラに似ていますが、ウワミズザクラの花序の下には数枚の葉が付きます。 一方、イヌザクラの花序の下には葉が付かないことで区別できます。

葉(2019/07/15 八幡湿原)

 葉身8~11cmの卵形で、葉の先は尾状に伸び、基部は鈍形で丸い形状です。 葉は互生し、葉脈が表でくぼみ裏に突出するため皺目が目立つことと、葉柄が短いことが特徴です。 縁には細くて鋭い芒状の鋸歯があります。

実(2015/08/15 八幡湿原)

 果実は6~7mmの卵円形で、晩夏に赤~黒色に熟します。 実は徐々に赤くなっていき熟すと黒くなりますが、一度にすべての実が熟すのではなく徐々に熟していくので 実の色のグラデーションが見られ綺麗です。熟した実は食べることが出来ます。実は食べられます。

実(2015/08/15 八幡湿原)

   ウワミズザクラの紅葉は綺麗ですが、個体によっては黄葉する樹もあります。(未観察)

若い実(2019/07/15 八幡湿原)

樹皮(2019/07/15 八幡湿原)

 温帯の林内におよび寒地の谷沿いや二次林に自生し、樹高は20mになります。 名前の由来ですが、古代日本では鹿の骨の裏に溝を付け、この樹で燃やして占いをしていたとのことで、 このことから占溝桜→ウワミズザクラとなったようです。