イチョウ(銀杏、公孫樹)(イチョウ科イチョウ属 落葉高木 雌雄異株)

全国分布 逸出(中国原産)
県内分布 逸出

   中国原産の外来種で古くに渡来した樹木ですが、自生地は不明です。
   イチョウは花粉の中に精子を持っており、秋に花粉の中から精子が放出されて受粉されます。
   名前の由来:葉の形がガチョウの足に似ていて、中国で鴨脚(ヤテャオ)樹と呼ぶことから。


新緑 (2014/07/01 市街)

 室町時代以前に中国から渡来した樹木で、樹高は大きいもので45mになります。 雌雄異株で、花は4月頃咲き、雄花は尾状で淡黄色、雌花は緑色で長い柄の先に裸の胚珠が2個あります。

 

実(2014/06/29 佐賀県 鳥栖)

 種子は直径約2.5cmの球形で9月頃成熟します。熟すと外種皮は黄色くなり悪臭がします。イチョウの実である銀杏は栄養価が高くていろんな料理に使われていますが、 たくさん食べると有毒で、吐き気やけいれん等を惹き起こすことがあるようです。 実は「銀杏」と書きますが実の形が杏子に似ていることと、種の殻が銀白色に見えることから使われているそうです。 (未観察ですが)花期は4~5月で、葉の展開と同時に開花します。雌雄別株で、雄花も雌花も短枝に束生します。 雄花は長さ2cm程の円柱形で雄しべがらせん状に付きます。雌花は長さ2~3cmの細長い柄の先に胚珠が2個付き、普通1個だけ成熟します。 風に運ばれた花粉が胚珠内に入り、花粉室で発芽して精子が出来ます。精子は8月下旬ころから放出され卵細胞を受粉させます。

 

葉(2014/06/29 佐賀県 鳥栖)

 葉は扇形で、中央に切れ込みが入る葉と入らない葉があります。葉は長枝では互生し、短枝では束生します。 イチョウの葉の葉脈は途中で二又に分岐しており、これは昔の植物の特徴の1つです。葉の幅は5~7cmの扇型をしています。 葉の裏脈が二又分岐を繰り返しながら伸びているのが特徴です。

 

樹皮(2014/06/29 佐賀県 鳥栖)

 樹皮は縦に裂け、コルク層が発達し、押すとやや弾力があります。 寿命も長いが実がなるまでも長くかかり、「公孫樹」は孫の代までかかるという意味です。

全体(2016/06/12 北海道大学)

 全国にイチョウ並木の名所はあるようですが、北海道大学の新緑のイチョウ並木には感動しました。

 

黄葉(2015/11/03 筒賀村)

 安芸太田町、筒賀の県指定天然記念物の大イチョウです。 寿命が長いため各地に大木や老樹があり、天然記念物に指定されているものも多くあります。

 

黄葉(2015/11/03 筒賀村)

 イチョウは花粉の中に精子を持っており、秋になると花粉の中から精子が放出されて受粉されます。 このことを発見されたのは日本人の平瀬作五郎で、その発見は明治29年です。 すなわち、「イチョウの花粉は、雌の木で成長し、運動する精子(精虫)が形成されます。 研究当初は花粉管の中でしか見ることができませんでしたが、その後、精子が泳ぎだすことを見ることができた」ということです。 海で始まった生物が精子を作るのは、下等生物では普通ですが、陸上で繁栄を始めた高等植物ではそのような性質を失っているので、 イチョウではあたかも生命が始まった海の記憶を留めているということができます。日本人による世界的な大発見の第一号であると云える この発見に続き、同年、池野成一郎によりソテツにも精子があることが発見されました。