イスノキ(柞の木)(マンサク科イスノキ属 常緑高木)

全国分布 本州(静岡県以西)、四国、九州、沖縄
県内分布 宮島

   広島県には宮島にのみ自生しおり、宮島ではイスノキの優占林があります。
   別名ヒョンノキと呼ばれ、花弁がなく赤い雄しべが目立つ地味な花を付けます。
   名前の由来:イスノキが多い鹿児島県の「伊集院」が転訛して「いすいん」と呼ばれる
         ようになった。他の説:材が硬く、この木から櫛を作ったことから。  


両性花と雄花(2016/04/05 康午)

 開花時期は4~5月で、葉のわきに総状花序をだし、上部に両性花、下部に雄花をつけます。 花には花弁がない赤っぽい珍しい形態の花をつけます。一見花には見えないのですが、色は紅色なのでよく目立ちます。

雌花(2016/04/05 康午)

花(2016/03/31 草津)

葉(2016/03/31 草津)

 葉身長4~9cmの長楕円形で、縁はほぼ全縁です。ただし、若い木や徒長枝では時に葉の先に近い部分に少し鋸歯が出ていることがあります。 葉は革質で表面は光沢があり、互生します。モチノキやサカキの葉に似ていますが、イスノキは葉脈の網目が葉の裏と表、両面から見えるのが特徴で、 モチノキでは網目が見えないので区別できます。

実(2016/06/06 康午)

 果実は7~10mmの広卵形で、表面には黄褐色の毛が密生し、先端に花柱が残っています。熟すと2裂して黒い種子をだします。

実(2016/06/06 康午)

 葉に大小の虫えいが多くできることがこの木の大きな特徴です。 イスノキコムネアブラムシの寄生では葉の面に多数の小型の突起状の虫こぶを、イスオオムネアブラムシの寄生 では丸く大きく膨らんだ虫こぶ(ひょんの実)が形成されます。どちらも非常に頻繁に出現するのでこれによってイスノキと特定できます。 虫こぶ(ひょんの実)は成熟すると表面が硬く、内部が空洞になり、出入り口の穴に唇を当てて吹くと笛として使えます。 これが別名ヒョンノキ(ひょうと鳴る木)の由来と言われています。

全体(2016/03/31 草津)

 暖地の常緑樹林内に自生し、樹高は約25mになります。樹皮は赤褐色で老木では少し鱗状に剥がれてきます。 宮島にはイスノキが優占する森林があります。沿岸部の低地に生け垣として植栽されています。