イヌブナ(犬橅)(ブナ科ブナ属 落葉高木)

全国分布 本州(岩手県以西)、四国、九州
県内分布 低山地域から中国山地の主に渓谷に自生

   葉脈の側脈が葉の縁の窪んだ部分に達するのがブナの最も大きな特徴です。
   広島県では比較的低い山から自生しますが、個体数が少ないのか出遭える機会が少ない。
   名前の由来:ブナより材質が劣ることから。


葉 (2015/09/22 米子市 花公園)

 ブナとの違いは、葉がやや広くて側脈が多い点で、ブナの側脈は7~11対、イヌブナは10~17対あります。 イヌブナの波形の鋸歯はブナより低いことも差別化点です。

 

葉(2015/04/23 極楽寺山)

 花も実も観察できていませんが、開花時期は5月頃で、雌雄異株です。雄花は尾状で淡黄色、雌花は緑色で長い柄の先に裸の胚珠が2個あります。 花は数年に一度開花します。 果実は長さ1~1.5cmで長さ2.5~5cmの長い柄の先に垂れ下がって付き、10月頃成熟する。

 

樹皮(2015/04/23 極楽寺山)

 イヌブナの樹皮はブナより黒っぽく黒ブナとも呼ばれます。 古い時代に中国から渡来した樹木で、樹高は大きいもので45mになります。樹皮は縦に裂け、コルク層が発達し弾力があります。

 

全体(2015/04/21 植物園)

 ブナより標高の低い山地に自生し、クリやシデ類と混生して林を形成し、樹高は15~25mになります。 自然度の高い渓谷ではイヌブナ林を形成します。沿岸部には見られませんが、太平洋側のやや乾燥した山地に多く自生しています。 樹皮はブナより黒く、いぼ状の皮目が多数あり、ブナの様に地衣類を多くつけることはありません。 萌芽力が旺盛で主幹が枯れてもひこばえが成長することによって個体の声明を維持します。