全国分布 | 本州、四国、九州 |
県内分布 | 県内に広く自生。中国山地には少ない。 |
開花時期は4~5月で、雌雄同株ですが、淡い黄褐色の小さな雄花と両性花を付けます。 雄花は本年枝の下部に集まって付き、両性花は上部の葉腋に1~3個付けます。 この写真では右側の先に白い綿毛の様になっているのが両性花の雌しべの柱頭で、柱頭の下に4本の雄しべが付いています。 雄花は、両性花の左側に4本の雄しべが開いた形で咲いているのが確認できます。
この写真でも雄花と両性花が咲いているのが判ると思います。両性花は1個ですが、雄花は両性花の下側に数個の咲いているのが見られます。
雄花の拡大写真です。4本の雄しべがはっきりわかると思います。
日本の国蝶とされているオオムラサキはエノキにのみ産卵し、幼虫は木の葉を食べて成虫になります。 オオムラサキ以外にもタマムシやゴマダラチョウなど様々な昆虫にとって必須の樹木です。
果実は直径6~8mmの可愛らしい実で、10月頃赤褐色に熟します。
葉は左右不相称で互生し、基部から長く伸びる三行脈が目立ちます。側脈は鋸歯の先端に達しません。 成木の葉は上部1/3ほどに小さな波状の鋸歯があるものと、ほとんど全縁のものがあります。幼木の葉は上部2/3ほどに鋸歯があります。 葉は日本の国蝶に指定されているオオムラサキの幼虫の餌となっています。
エノキの花は若葉が出てくると同時に咲き、この時期は樹全体が淡い黄色に覆われていて 遠くからでもよく目立ちます。山地に自生し、大きいものは高さ25mになります。
昔は信仰の樹として、あるいは村境や橋のたもとなど道路標識として重要な役目をはたしていた樹です。 明治以前の道路は一里(約4km)が単位として用いられていて、その里程を示す一里塚の目印としてエノキが植えられていました。
出雲弥山の山頂に自生していたエノキで、下山後に平地からも確認できたほど立派な樹でした。 エノキは発芽力が強く、路地や空き地などで知らない間に育った幼木を見かけることがよくあります。
秋に黄色に色づきます。