アカガシ(赤樫)(ブナ科コナラ属 常緑高木)

全国分布 宮城県、新潟県以南の本州、四国、九州
県内分布 主として低山地域に自生

   近郊の山に自生するカシ類の中で、アラカシ、シラカシの次に個体数が多いと思います。
   カシの仲間では最も大きな葉で葉柄が長く、コナラ属では唯一全縁(鋸歯がない)です。
   名前の由来:材が堅く強靭で赤みを帯びるていることから。  


葉 (2015/03/17 極楽寺山)

 葉の質は厚くてやや硬い革質です。葉の巾が広く、葉の長さは7~20cm、葉柄の長さは2~4cmとカシ類の中で長いのが特徴です。 通常は全縁で、鋸歯がないのが大きな特徴です。ただし、ときに葉の上半部に波状の鋸歯があるものがあります。 また、葉は互生し、長楕円形で、先端は長く尾状に伸びています。 シリブカガシも鋸歯を持ちませんが、シリブカガシはマテバシイ属でアカガシの属するコナラ属ではありません。

葉 (2014/09/26 極楽寺山)

 カシの木の種類は多くあるので区別に困ることも多くあります。 しかし、このアカガシには多くの特徴的な点があるので、見分けることは比較的容易なカシです。 差別化点は、つぎの3点で、①葉柄の長さが2~4cmあり、他のカシに比べてかなり長いこと、②葉身長が7~15cmとカシの中では最も大きいこと、 ③葉に縁に鋸歯がなく(全縁である)、これはコナラ属ではアカガシだけです。これらの差別化点を覚えていれば区別は容易です。この特徴を覚えてから、 近郊の山にアカガシの自生が多いことが分かってきました。

樹皮 (2013/10/30 呉娑々宇山)

 極楽寺山では非常に個体数が多く普通に見られます。極楽寺山の本堂横のアカガシは幹回り7.5m、樹高13mで県内最大だそうです。 大木では高さ25mになる。沿岸部や島には稀ですが宮島弥山、倉橋島の岳浦山の海抜400m以上には多くみられます。

 

全体 (2015/03/17 極楽寺山)

 
 アカガシは西日本では珍しくない樹ですが、関東周辺では少ないようです。ただ神奈川県丹沢山系から伊豆半島には比較的多い。 雌雄同株で4~5月に雄花序は長さ6~12cmで、本年枝の下部から多数垂れ下がり、雌花序は上部の葉腋に直立し、2~5個の雄花を付けます。 果実は、1年目はごく小さく、2年目から急に成長し、秋に成熟します。
1年目にドングリとして熟すもの:コナラ、ナラガシワ、ミズナラ、カシワ、アラカシ、シラカシ、イチイガシ、クリ
2年目にドングリとして熟すもの:  クヌギ、アベマキ、ウバメガシ、アカガシ、ツクバネガシ、ウラジロガシ、マテバシイ、シリブカガシ、スダジイ、ツブラジイ