全国分布 | 本州、四国、九州 |
県内分布 | 瀬戸内の島から低山地域まで広く自生 |
開花時期は3~4月で、展葉に先立って、淡黄色の小さな花を散形状につけます。 花柄があり有毛です。花柄のある点がダンコウバイとの差別化点になります。 雌花序には3~4個の雌花が付き、雌花には花被片6個、葯のない仮雄蕊が9個、雌しべが1個あります。 山地から丘陵の谷沿いや多少湿った斜面に生え、樹高3~6mになります。
冬芽の花芽は、球形で柄とともに無毛ですが、同じ仲間のクロモジの花柄は有毛です。
雄花の雄しべは9個あり、外側に6個、内側に3個並んでいます。
クスノキ科の中で最も早く花を付けます。早春の4月初旬までに、アブラチャン、その次にダンコウバイ、クロモジ、シロモジと次々に花を付けます。 その後4月下旬までに、ヤマコウバシ、カナクギノキそしてクスノキが花を付けます。クスノキの花だけが白色でその他は全て黄色い花です。
根元から数本~数十本の幹が群がって立つので「ムラダチ」という別名があります。
果実は約1.5cmの球形で、10~11月に黄褐色に熟すと不規則に裂けます。 花はダンコウバイより小さいのですが、実はアブラチャンの方が大きい。 ダンコウバイの実の大きさは約8mmです。
アブラチャンのチャンは瀝青のことで、果実や樹皮から油を採り灯油に使用され、名前の由来はここからきています。 「瀝青」は、天然または人造の炭化水素からなる化合物で、天然アスファルト・コールタール・石油アスファルト・ピッチなどの種類があります。
葉は全縁で互生し、葉形は菱形に近く、クロモジのように枝先に集まりません。 葉柄はクロモジやヤマコウバシより長く赤みを帯びることが多い。 クスノキ科特有の3行脈はありません。未観察ですが、アブラチャンの黄葉も綺麗です。
樹皮は灰褐色で小さな皮目が多くあります。 種子や樹皮は油を多く含み、生木でもよく燃えます。